自問自答と試行錯誤

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日本ピアノ教育連盟東北支部 主催のオーディション予選課題曲公開講座@仙台を
お蔭様で無事に終えることができました.述べ約7時間に及ぶ長丁場でしたが、
終講後には質問に来られる方も多く、音楽に対する皆さまの熱意が感じられました.
 

さて、今回の広島と仙台の公開講座を通して、作品の分析や演奏に際し
自問自答と試行錯誤を重ねることの大切さを身をもって再認識いたしました.
 
実はレッスン以外の場において、自身が演奏で表現したことを言葉で説明したり、
反対に、言葉で表現したことを演奏で立証する機会はあまり多くはありません.
 
それだけに、今回のように小学生から大学生部門までほぼ全課題曲を限られた
時間内に紹介させて頂くためには、作曲家、時代、形式や様式といった音楽の
外見的特徴だけでなく、弾き手の身体の発達に応じた手の使い方やフレージング、
ぺダリング等を予め自分の中で整理し、体系化しておくことが必要不可欠でした.
 
普段はそれこそレッスンという現場においてほとんど無意識的に対処している
ことですが、いざ講座の準備に取り掛かると自ら 「問い」 を立てることが
まず難しく、また、筋の通る 「答え」 を導くことにも苦労をしました.
言うまでもなくそれら自問と自答の間に無数の試行錯誤がありました.
 

けれども、自分なりにもがいた分の興味深い発見もいくつかありました.
 
例えばショパンの遺作のポロネーズやモーツァルトの初期のメヌエットのように、
大作曲家のあまりにも若すぎる時代に書き上げられた作品群を芸術的観点から
丁寧に比較検証していく作業は、いよいよ同作曲家の名曲・難曲に挑む際に
ついおそろかになりがちな基礎課題をくっきりと浮かび上がらせてくれました.
 
極論かもしれませんが、チャイコフスキーのピアノ協奏曲やショパンのソナタを
難なく弾きこなす生徒は僕の学生時代に比べて珍しいものではなくなりました.
一方で『四季』やノクターンを相応に、魅力的に演奏できる学生はごく僅かです.
 
中には大学を卒業して気が向いた時に学ぼうと思っている人もいるようですが、
ピアノはヴァイオリンと違って、小品を先送りにすると後々が本当に厄介なのです.
 
大曲にチャレンジすることは否定しませんが、10代から20代前半の要所要所に
作曲家の原点や小品と真摯に向き合うことが重視されるべきと改めて感じました.
 

また、クレメンティ、ディアベリ、カバレフスキーといった作曲家は、やはり、
子どもたちがあくせくしながら弾いて、そのまま終わりにされている‥しかも、
ブルグミュラーやグリーグの小品、J.S.バッハのインベンションと違って大人に
なった学習者がその真の面白さに気が付くチャンスすら十分にもたらされていない.
「あぁ、なにもそこまで脇に追いやらなくとも!」 と、些か同情してしまいました.
(この機会に触れられたことがそれぐらい貴重な出来事だったという意味です)
 

‥というわけで、語りだすともう止まらなくなりそうなのでここで終わりにします.
 

ちなみに、僕は何事においても結果よりプロセス重視です.理由はとても単純です.
自分の実力は自分が一番よくわかっていて、それが結果に左右されるということは
まずあり得ないからです.自分の実力を磨くのは結果ではなくプロセスだと書いた
方がわかりやすいかもしれませんね.いずれにせよ、そのプロセスを充実させる
のが自問自答の繰り返しであり、試行錯誤を重ねることだと今回の経験で学びました.
 

最後になりますが、一連の公開講座でお世話になりました(公財)日本ピアノ教育連盟
山陽支部、東北支部の先生方、スタッフの皆さまにこの場を借りて心より御礼申し上げます.
 

会場のカワイミュージックショップ仙台、反応の良い上質なピアノでした.
 
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6件のコメント

  1. はじめまして!この前はほんとうに素晴らしい講座で感動しました。川村先生の説明や演奏は子どもにも大人にもわかりやすくてとっても頭のいい先生なんだろうな~と思いながら受けてました(^^)同じ楽器でどうしてあんなに鮮やかに作曲家や作品のスタイルの違いを表現できるのかが不思議でしたが、演奏家としても活躍なさる先生の演奏をこんなに間近で聞けてとっても贅沢でした。

    あと午前はプロコやシューマンをバリバリ弾きこなしたかと思えば、午後は子ども向けの作品の一つ一つに愛情を込めて丁寧に接していらっしゃって。。。なんだか私ジーンときてしまいました。オバサンですみません(笑)またぜひ仙台に来てください!

  2. おはようございます(^_^)。
    もちろん”結果”が良い方がいいですよ(モチベーション、やる気向上になりますし)ね。けれど、
    自問自答を繰り返し、試行錯誤を重ねて”プロセス”を充実させるのがいかに大切か…。
    私の学生時代に「答え」を導くまでの途中式がいかに重要であるか、を思い出してしまいました(←話しがなんか違うかも)。。
    しかし、
    若い時”結果”が自分の思い描いていたようにいかなくて自暴自棄になっていた私を、それまでの”プロセス”をみていてくれた先生達が認めてくれて、
    また違った形ではありますが、
    「自分なりに、人生やってて良かった…」と感じています。
    つい”結果”にとらわれがちですが、
    どこで誰が(陰ながら?)みていて評価していてくれているか、応援してくれているか分からない。諦めずに、継続していきたいと思います♪継続は力なり♪

    前のコメントも有難うございます!

  3. 余談?ではありますが、、もし、
    国語の四字熟語の問題で、「自○自○」の○を答えなさい…とかだとして、

    (川村)先生の「自問自答」と私の「自暴自棄」では、

    えらい違いだな…とか思ってしまいました(恥)。。

  4. 去年江戸川で聴いた東京工業大学のラフマニノフのピアノ協奏曲が素晴らしかったのでぜひ滋賀大学のも聴きたいと思うのですがチケットはどうやって買えますか?

  5. 東北のママさん
    お返事遅くなってすみません!また機会があれば是非仙台に伺いたいです.こちらこそ有り難うございました!

    田島川の鮒さん
    ほやさ、何事も深いざ(笑

    ちゃまさん
    「自〇自〇」で僕が真っ先に思い浮かぶのは自給自足です.それはともかく、結果というのは他者の評価ですからね‥それも大事ですけど、自分で自分がここまではできたという自己評価は健全な自尊心のプラスになると思います.そういう意味で人間、腐らず地道な努力をしたほうがいいです.さらに言えば世の中にはその努力をちゃんと見ている人もいます.

    さつきさん
    お返事できず申し訳ありません.コンサートのご案内はオフィシャルサイトのスケジュールでもしています.チラシ等をご参考にして頂ければ幸いです.

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