音楽の旅

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 2月も終わりに差し掛かっていますが、今朝はバルコニーに雪が積もりました.温暖化と言われてはいるものの、近年は東京の雪が珍しくなくなってきたようです.余談ですが、雪が積もると普段からひっそりとしている家の中がさらに静まり返ってとても快適です.このしんとした空間で鈴(仏具)を鳴らすとどうにかなってしまいそうなほどゾクゾクします.
 
さて、相変わらず目まぐるしい日々を過ごしていますが、先週は今の住まいに引っ越しをしてから2度目の契約更新をしました.これで丸4年が過ぎたことになります.最近は留守も多いうえにもっぱら寝に帰るだけの日もあるので、そんなに長く住んでるのかしらと釈然としないのが正直な心境です.けれども一方で、今のライフスタイルに少し慣れてきたかなと思うことがあります.以前だったらとてもこなしきれなかった量の仕事を今は当たり前のようにこなしていますし、あんなに苦手だった外交的な立ち振るまいも昔に比べてだいぶできるようになってきました.もっとも今でも決して楽ではありませんが、自分のためにも相手のためにも、仕事上の辛いことはさっさと慣れてしまったほうが賢明なのかもしれません.
 

 ちなみにこの日曜と月曜には福井県新人演奏会オーディションの審査やマスタークラスを担当させて頂きました.こうした仕事をさせて頂くようになり、「後進のために僕にできることは何だろう‥」と自問自答する機会が増えましたが、なかなか答えは見つかりません.それだけならまだしも、僕から見て、音楽を志す若い奏者たちが今、何を感じ、何を学び、何を目指しているのか ─ 言うまでもなく演奏や音楽活動の根本的な動機です ─ それが掴めずにもどかしさを感じることが多いです.そうした意味では、趣味で続けている学生や大人は良い意味で貪欲なのでそのような心配事が少ないのですが.まぁいずれにせよ自分なりの答えを地道に探し続けるしかないのでしょうね.
 

そして昨夜はヤマハ銀座スタジオにて行われた「音楽の旅」シリーズにピアニストの三輪郁先生と共に出演させて頂きました.1月末のモーツァルトから打って変わって、今回は「愛と死」という壮大なテーマ.終わったから書けるのですが、今回の準備は精神的にとても苦しかったです.物理的な課題もあったのですが、僕の中では「愛」も「死」もどこかタブーというか、まともに言葉で語れるようなものではないと思っていたので、考えれば考えるほど、作品と向き合えば向き合うほど息が詰まりそうになってしまって‥と、そんな話をしたら、意外にも三輪先生も同じようなことを話されていたので妙に安堵しました.そのせいかはわかりませんが三輪先生とご一緒したマーラーのアダージェット(連弾)では、そこに至るまでの苦しみに耐えた心(←大袈裟)を解放してくれるかのような心地良さを感じることができました.そして今回は都心での公演ということもあってか、教え子や卒業生、他門下の学生等がたくさん聴きに来てくれたのも嬉しかったです.あまり多くの言葉を交わすことはできませんでしたが、彼らの表情を見ていて、やはり大切なことは言葉よりも演奏で伝えるほうが僕には合っているのだろうなと改めて感じました.

 

さて、今日はこれから大学の公開試験の審査です.そして週末はいよいよラフマニノフのコンチェルト.それが終わればようやく2日間の休みを頂きます.久しぶりに?実家で親とゆっくり過ごす予定です.それでは週末の日曜日は敦賀でお待ちしています!

 

ヤマハ銀座スタジオはすっきりとした響きでした.
 
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今朝は早くに目が覚めてしまったので、散歩がてら野鳥に癒されてきました.
 
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こちらは群れから一羽だけ寄ってきた愛くるしいハト.
 
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3件のコメント

  1. 川村先生、
    こんにちは。
    随分前にマーラーのAdagiettoを分析した事があります。
    セピア色に変わってしまった手書きの分析した譜面を見ながら
    当時ピアノ譜に書き換えるのに悪戦苦闘した事や、短い楽章でシンプルなのに
    とても印象深く上手く言えませんが懐かしいような、押し寄せるような…
    不思議な気持ちにさせられる作品だなぁと感じた事を思い出しました。
    今回の演奏を聴けた方が羨ましいです! いつか聴く機会を得られたら嬉しいです。

  2. 昨夜の音楽の旅、とても素晴らしい内容でした。

    川村さんの演奏は聴く度に音楽も響きも深化しているようで心から尊敬いたします。
    今後も演奏家として、教育者として偉大な芸術家の道を歩んでゆかれることをお祈りします。

    また拝聴できる機会を楽しみにしております。本当にありがとうございました。

  3. マーライオンさん
    楽譜をていねいに分析していくとその向こう側にある音の響きや情感、作曲家の想いといったものが感じられることがあります.プレイヤーである僕たちにとって、それらを実際の演奏にどう結び付けていくかを考え実践することは容易なことではありませんが、偉大な作品に直に触れられる悦びは奏者冥利に尽きます.聴く機会ではなく弾く機会を作りましょう.僕がセカンドを弾きますので!

    匿名さん
    コメントを有り難うございます.今回はテーマが壮大なものであったため、準備は本当に苦しく感じました.20代はそうでもなかったのですが、最近は作品を音にした時の印象だけでなく、作品そのもののテーマや内容に心がシンクロするようで、それが自分の音楽観にも影響しているように思います.こちらこそ有り難うございました.

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