20210623

手話のこと

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 今日はまさかのゲリラ豪雨に足止めをくらいましたが、半年前からお世話になっている手話教室の今年度一期目の最終講義を終え、夕方からは後輩のリサイタルにうかがいました。

 同門でもある彼の音楽は風を切るように颯爽としていて、胸がすくほど気もちのよい演奏でした。今は次の仕事のために資料や論文とにらめっこする日々ですが、音符の正しい読み方はあってもスコアの解釈に唯一の正解はないということを今夜の音楽会で再認識しました。
 

 ところで、これまでブログで触れてこなかった手話について。今だから言えますが、僕が真剣に手話を身に着けようと決意した背景には、音声のみのコミュニケーションによるストレスが原因で対人恐怖になりかけた経緯があります。理解が得られにくいとは思いますが、僕の場合は現代の優れたデバイスを以てしても声を聴き取ること、声で話すことに相応のエネルギーや神経を費やさざるを得ないからです。

 初めて手話を意識したのは2019年の10月でした。世界保健機関(WHO)のガイドラインにある「補聴器効果が制限的、手話・読話必須」という項目に自身が該当していることを知り、とにかくものはためしと独学で始めました。

 もっとも手話は言語ですし、僕の学んでいる日本手話(JSL)はいわゆる日本語とは異なる言語的構造や特性を持っているため習得するにはそれなりの覚悟が要ります ― 昨年はパンデミックにより手話講習会もことごとく中止に追い込まれ、ひとりで勉強するのが切なくて何度もくじけそうになりました(汗)

 今では手話で語れる仲間や当事者が増え、まだまだ流暢に話せませんが、他者との意思の疎通にもだいぶ自信が持てるようになってきました。また、なにより興味が尽きないことは、ネイティブサイナーの手話と音楽との類似性です。手話アーティスト、キャスタークラスともなるとテンポの緩急、音韻変化の多彩さ、ダイナミクスやアーティキュレーションの使い分けなどが三者三様で思わず目で聴き入ってしまうほどです。

 
 いろいろなご縁や接点から多くの方々に応援していただけること、そして手話に出会えたことを本当に嬉しく思います。同時に言葉は生き物。言語は文化。いかなるランゲージも対等で、それぞれに意義や役割があることを心に留めながらこれからも勉強を続けていきたいと思います。
 

写真の説明
福井県人なら泣く子も黙るザ・郷土料理「たくあんの煮たの」。
父親作の自家製たくあん(古漬け)を送ってもらい初めて作りました。
砂糖やみりんは使わず、僕好みに酸味と歯ごたえをしっかり残しました。
母には悪いけどおふくろの味を超えたと自画自賛しながらビールを呷りました。

5件のコメント

  1. こんにちは。

    先生は料理が上手ねぇ、独学?

    手話やってるんですね、
    (去年は)独りで勉強するのが切なかったとのこと、、
    私のこと誘ってくれれば良かったのに…って習い事が増えたら周りがますます嘆きそうですが、、汗
    だってピアノも習い事だし。

    それで?コロナ禍で気づいてしまったのは、私の人生そのものがはっきり言って不要不急なのではないかい!?ということです。
    だって私がいなくても別に世の中変わらないし誰も困らないし。逆にありがたがる人がいるかもしれないし…そう思ったらなんか切ない。
    でもコロナがきっかけで、
    パソコンやらスマホやらがほとんど分からない私までもが、初のオンラインレッスンをすることになるとは!人生何が起こるか分からないですね。スマホのこととかは大野メソッド講師のH先生が根気よくお付き合いくださり、私が出来るまで親切に教えてくださりました。
    私の家族が「ほんとH先生で良かったね」と言って感謝していました。
    川村先生もまたお会いしたいですね!今は充電期間ですね(^_^)。。

  2. ちゃまさん
    >だって私がいなくても別に世の中変わらないし誰も困らないし。

    僕はそうはおもいませんが、仮にそうだったとしても、ちゃまさんの生き方を決められるのはちゃまさんだけですよ。人はみな他人。誰かが代わりに「私」を生きてくれるわけではありません。死ぬことのない限りは自身の境遇をなげかず、信じた道を歩めばそれで十分なのではないでしょうか(^^;

  3. そうですよね、
    深い意味で言ったわけではないのですのよ(・┰・)、、

    今、ベートーベンのソナタを始めています!何番かは秘密。

  4. こんにちは!

    中国に「寝そべり族」っていうのがいるんですって。

    知ってました?

  5. 声楽コンサート、お疲れさまでした。
    久しぶりに川村先生がピアノ弾いてるのを見て、とにかく元気そうでよかった~と思いました(^_^)!

    私が19才の夏にピアノを再開した時「音大に行きたいんです」と言ったら、当時、先生達に「音大に行くのが目的なら声楽の方が入りやすいかもしれないよ…」と言われたことを思い出しました。
    でも当時はピアノでと思っていたので(しかも課題曲の楽譜を一冊も持っていなかった…汗)まずは池袋のヤマハのお店に行き、ショパンのエチュード、バッハの平均律、ベートーベンのソナタの楽譜をあわてて買いに行くことから始まったの思い出しました。そんなですから、、
    結局は音大には入れなかったのですが、、
    「塞翁が馬」ではないけれど、
    予想外のいろんな意味での楽しいことも大変なこともあり、そして
    いまだにピアノを続けていてよかったな~と思っています。

    でも歌もあんな上手に歌えたら気持ちいいだろうな~と思って聴いてました(^∇^)。。

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