東京芸術劇場コンサートホールで行われた「障害者週間」東欧音楽家支援 日本・ポーランド・ルーマニア・フランス文化交流演奏会~第34回 国際親善交流特別演奏会~に足を運びました。2年ぶりでしたが、東京芸術劇場は相変わらず巨大な迷路のような建物。
僕は大きなコンサートホールのホワイエやラウンジなど、いろんな人の声や音が飛び交う場での音声コミュニケーションがむずかしいので「ハァ~やれやれ困ったことになったぞ」と思いながらキョロキョロしていたのですが、すぐにスタッフの方がやってこられて流ちょうな手話や指さしで席を案内してくださり「あぁ来てよかった!」と心から思いました。我ながらこんなことで幸せな気もちになれるなんて単純ですねぇ。
ところが、開演早々に僕の座っている席から少し離れた場所でとても残念な出来事がありました。どうしても視界に入るので演奏開始後から彼らの様子をなんとなく気にはしていたのですが、中プロに差し掛かるころには自閉スペクトラム症と思われるお子さんと付き添いのお父様のお二人が周りにいた健常者の聴衆に気遣うように退席されました。
まがりなりにもコンサートのコンセプトを考えれば、いかなる事情があるにせよあってはならないこと、起こしてはならないことです。僕はその一部始終を目撃しながらなにもできなかった自分が許せなくて嫌だったし、仮に、あの親子たちがもう音楽会には来ないかもしれないと考えると ― 少なくとも逆の立場だったら僕は二度とコンサートには行かないと思います ― とてもいたたまれなくて、前半を聴き終えて早々に会場を失礼しました。
アクセシビリティやジェンダー平等を実現するためには制度(ハード)だけ整えても十分ではありません。ひとり一人の意識(ソフト)が変わらなければ広い意味での多文化、共生社会は夢物語で終わってしまうように感じます。
ちなみに2021年のジェンダーギャップ指数は、日本の総合スコアは0.656、順位は156か国中120位で先進国の中で最低レベルです(※)が、僕自身は例えば「フェミニスト」とか「LGBT」といった言葉はある意味で記号に過ぎないと思っていて、そのような記号がひとり歩きして議論されているところに違和感を覚えることがあります。障害者支援やアクセシビリティの問題も然りで、誤解を恐れずに言えば「障害者」という言葉そのものがなくなればいいとさえ思うこともあります。
※内閣府 男女共同参画曲ホームページより
ものの見方や考え方、特性、好き嫌いなど人にはさまざまな属性が付いて回りますが、忘れてはならないことは世界にひとりとして同じ人はいないということ。人はみな本質的にマイノリティーであり、誰ひとり同じではないという点において同じ人間であることです。
今後ますます多様化していく社会の中で、誰もが傷つかない、排除されない環境を整えるために僕たちにできることがあるとすれば、偏見や固定観念を捨て、目の前にいる人たちの人そのものをみることではないでしょうか。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、それぞれの属性を越え、互いの違いを認め合うことでしか人は真につながることができない ― 過去のブログや寄稿した文集で同じことを何度も書いているように思いますが ― これは僕なりの生き方に直結する根本的な思想でもあります。
それを達成不可能な困難と考え現状を追認するのか、はたまたシンプルなことと受け止めて意識を変えていく努力をするかはそれこそ人それぞれかもしれませんが、どちらが建設的で明るい未来への道につながるかは考えるまでもないことですよね。
追記
コンサートとしては残念な気もちが残りましたが、演奏はとてもすばらしかったので
こちらについては Facebook に後日あらためて書かせていただきます。
写真の説明
常備菜が食卓の中心になり、いつの間にかおかずの品数が増えました(笑)
そして1日1回は手で食べています。慣れてくると手食のほうが断然たのしいですし、
もれなくスマホやテレビに集中できなくなるため、食材の味をふかく堪能することができます。
先生、
コンサートにいらしてたのですか!?
私は1階の前の方で盲導犬のワンちゃんの隣で聴いてましたよ。
川村先生がすみだトリフォニーホールで弾いた、
ブラームスのコンチェルト第2番を海老彰子さんが弾くので、
とても楽しみにして聴いて参りました。
難曲~!感動~!
写真のエビ~⭐️
でも先生、
途中で帰っちゃったんですか!?
二人の親子の件、別に先生のせいじゃないんですよ?先生まで退席することないのにね、っていうか
それまでは「あぁ来てよかった!」って心から思っていたのに…なんか大変。
ちょっと(笑)った、それにその親子も息子さんがお腹がすいただけで、父親が食事に連れて行っただけかも?しれないし…
先生の考えすぎかもしれない?
先生は感受性が豊かなのですね。
私は思いやりの心を大切にしたいと改めて思いました。。(U^ェ^U)
ちゃまさん
確かに双方の言い分を伺ったわけではないので僕の考えすぎかもしれませんが‥
あの様子を目の当たりにして、僕だけ後半の音楽を楽しもうという気にはなれませんでした。