少し前のお話になりますが10月9日・10日の2日間、福井市にあるふくい子どものための音楽教室にお招きいただきました。
こちらでのレッスンは実に3年半ぶりでしたが、ピアノに対する姿勢だけでなく、偏見にとらわれない子どもたちの素直さがとても印象に残りました。そして、彼らとのやりとりを通じて、教えるという行為が諸刃の剣であることもあらためて認識しました。
言うまでもなく、「他人にどう見なされているか」は学びにおいてさほど重要なことではありません。教える(ジャッジする)のではなく、生徒や学生が自身の力で前に進めているという実感を持たせること、それが本来の教育のあり方だと僕は考えています。
たとえば筆記試験を受けるために片っ端から既存の知識を詰め込むこと。これは単なる暗記であって、僕の中では学びとは言えません。そもそも学びとは評価や結果に関わらず自身の中で何かを探求したり、問題を紐解きながら答えを導くプロセスです。そして多くの子どもは ― こちらに都合の良い価値観を押し付けたり余計な口を挟まない限り ― 大人よりもはるかに学ぶ意欲に満ち溢れており、やりたいことをどんどん自分で見つけられる遊びの達人です。
むやみに同調せず、けれども否定もせず、子どもの自主性を尊重しつつ無条件に応援し続ける。これは僕が物心つく頃から一貫している両親の態度(教育方針?)でもあるのですが、もしかするとそれは、深い意味での「寄り添う」という言葉に置き換えられるのかもしれません。
残りの人生を考えると、教え子たちと向き合える時間はますます減っていくのかもしれません。けれども限られた時間の中で、彼らに寄り添うことが結果として教えることに繋がるよう一日一日を大切に過ごしたいと思います。