20221009

教えること、寄り添うこと

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 10月9日と10日の2日間、福井市にある「ふくい子どものための音楽教室」にて特別レッスンを行いました。

 こちらでのレッスンは実に3年半ぶりでしたが、子どもたちの素直さと、偏見に縛られない自由な姿勢がとても印象にのこりました。

 意外に思われるかもしれませんが、僕は他人からの評価は「学び」において重要ではないと考えています。それどころか、まったく気にする必要がないとさえ思っています。

 なぜなら、周囲の評価に左右されずに自分自身で探求し、問題を解決していくプロセスこそが「学び」であると考えているからです。その過程において「他者評価」はむしろ必要ありません。少なくとも、のびのびとした環境で感性を育ててきた子どもたちは大人が思う以上に学ぶ意欲に満ちていますし、余計な価値観を押し付けなければ、やりたいことを自分で見つける学びの達人です。

 大学で教えていた頃から僕が特に気をつけていたことは、自己の優位性や経験に基づいて生徒を判断しないようにすることです。時々、「自分はこう習った」と伝統的な正規の教育を正当化する方もいますが、それはたまたま、かつてその人にフィットしただけかもしれません。つまり、すべての生徒に当てはまる普遍的な正解はないということです ― もっともこのように考えることは僕にとっても勇気の要ることでもありますが ― ともかく、同じ目線で共に音楽と向き合いながら子どもたちが自分の力で前に進めているという実感を持たせること。それが基礎教育も含めた本来の教育のあり方だと考えています。
 

 むやみに同調するのではなく、けれども頭ごなしに否定することなく、子どもたちの自主性を尊重しながら無条件に応援し続ける。これは僕が物心つく頃から一貫している両親の態度(教育方針?)でもあるのですが、もしかするとそれは、深い意味での「寄り添う」という言葉に置き換えられるのかもしれません。
 

 これから残りの人生を考えると、子どもたちと向き合える時間はますます減ってゆく気がしてなりません。けれども限られた時間の中で彼らに寄り添うことが、結果として教えることに繋がるよう、一日一日を大切にしていきたいと思います。