文化芸術による子供の育成事業@大関小学校

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地元坂井市の大関小学校にて文化庁の文化芸術による子供の育成事業、
「川村文雄のお話とピアノコンサート」 を開催させて頂きました.
 
小学時代のご縁もあって、昨年から少しずつ進めていた企画ですが、
今回のお話のテーマとなった 『感動から始まり、つながる学び』 は、
これまでの先生と僕のメールのやり取りの中から生まれました.
 

「感動のないところに真の学びはない」、「感じていないものは表現できない」.
これは僕が教育に携わるようになってから、一貫して伝え続けていることです.
 
僕自身は決してピアノにまっしぐらな人生を歩んできたわけではなかったのですが、
担任の言葉を借りれば、その根っこの部分には 「日々、目にしたもの、耳にしたもの、
口にしたもの、触れたものに心を動かす ~ その心の動きにしたがって何かを始める
『自分』 を感じる‥(以下略)」 という学びの基本的な営みがあったように思います.

 

さて、下記は講演の中で僕がとりわけ子どもたちに伝えたかったこと.
当日の原稿からいくつかを抜粋してここに記しておこうと思います.

 

・小さなことでも一つのことに一生懸命に向き合う大切さ
・「新しいもの」 を取り入れつつ、古くからある 「伝統」 も重んじる
 
(原稿より)
今、僕たちはものに溢れた時代を生きていると思います。便利なものや、簡単に
答えの見つかりそうなものが次々と手に入る時代です。けれども僕は、それに
振りまわされてしまって、自分にとってほんとうに価値のあるものや、古くから
受け継がれてきたすばらしい文化が見つけにくくなったようにも感じます。
 
中略
 
ショパンは他の作曲家と違い、生涯にわたってあくまでピアノにこだわり続け、
独創的な音楽やピアノ奏法を次々と生み出しました。それは、一つの事にしっかりと
向き合い、古いものも新しいものも尊重できた彼だからこそ到達できた芸術だと思います.

 

・ものごとはおもしろいから続くのではなく、続けるからこそおもしろくなっていく
 
(原稿より)
これは、おもしろいから頑張るのではなく、頑張るからこそおもしろくなっていく
と言い換えることもできるかもしれません。もともと僕はピアノを習うことよりも、
ただ弾いて遊ぶことのほうが好きだったので、練習は嫌いでした。勉強はもっと
苦手でした。でも長く続けて行くうちに、自分の力でピアノや勉強のおもしろさに
気がつきました。それからは何事にも続けなければわからない、頑張らなければ
見つからないおもしろさがたくさんあるんだろうなと考えるようになりました。
 
中略
 
たとえばテレビやゲームはおもしろいかもしれません。ただ、ああいったものは
初めからおもしろいと思えるように作られています。僕が言いたいのはそういう
おもしろさではなく、自分でいろいろと考えたり、工夫を重ねながら見つけて行く
おもしろさ。もちろん思うようにいかなかったり、迷ったり、失敗してしまう
こともあります。それでも後で、時間が経ってから「あぁ、これか、これが
学ぶことのおもしろさか‥」と気が付ける ─ それには1年2年、5年10年かかる
かもしれません ─ けれどもそれだけ時間をかけて自分で見つけたおもしろさは
間違いなくみなさんのなかで一生のたからものになると僕は信じています。

 

・今の自分を少しでも越えること
 
実はピアノという楽器が誕生したころは、今のようにソロのコンサートが
開催されることはほとんどありませんでした。もしかするとヴァイオリンや
フルートのほうが当時のコンサートでは活躍していたかもしれません。しかし、
ピアノにはピアノ固有の可能性があると考えていた職人たちが数百年かけて
さまざまな改良を重ねた結果、ついに他の楽器にはない、つまりピアノならではの
音を引き出すことに成功しました。今はピアノは「楽器の王様と呼ばれています」。
 
中略
 
僕はある意味で、人間にも同じことが言えるのではないかと思います。周りを
見渡せば自分より輝いている、活躍しているように見える人はたくさんいますし、
僕もそういう人たちと自分を比較するとつい怖気づいてしまう。もうかれこれ
30年以上ピアノを学び続けていますが、今でも「自分にもあんな能力があったら
なぁ‥」 と人をうらやむこともあります。けれども、 「自分は今の自分を越える」 、
そのために時間をかけ、努力を惜しまなければ成長し続けることができると思います。
 
終わり
 
 

55歳のピアノはとてもデリケートで、思い出に残る経験ができました.
休憩を含め約2時間の講演に、朝から多くの方がいらして下さいました.
 
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この日はオープンスクールだったため、いくつかの授業を見学しました。
大関小学校は「道徳」が行き届いていてとても感心しました。
 
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5件のコメント

  1. 先生のブログ読んで感心しながら、
    ふと思い出しましたが、、北京オリンピックの開会式だったか??
    中国人の子供達が、
    「私はあなたのライバルです。
    しかし、敵ではありません。
    私はあなたに勝ちたいです。
    しかし、傷つけたくはありません。
    競いあうことで勇気をもらい、
    強くなることが出来るのです…」
    とかだったような?
    なんかいいなと。
    私は思い出しました♪。。

  2. 思い出してしまったから、仕方ないのですが、、
    しかし、
    趣旨が違ってしまったような…。
    トークコンサート頑張ってください!

  3. ちゃまさん
    趣旨が違った?まったく問題ありませんよ!僕はスポーツそのものはあまり得意ではありませんが、スポーツマンシップはいいなと思います(^_^  

  4. 問題なくて良かったです。ところで、
    次のブログの最後に、
    「庭に出るのが精一杯」って、、
    私(笑)ってしまって、、
    ジジイみたい。

  5. ちゃまさん
    気持ち的にですよ?肉体はまだそこまでジジイではないと思います、、笑

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