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明日のコンサートについて

 明日、白寿ホールにて開催させて頂くコンサート※は当日券をご用意しております.

 ご来場いただける方は直接いらして頂ければ幸いです.

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 ※開演は17時00分(午後5時)ですのでお間違いなく.

 

 それでは、会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしております.

 
 

人前で弾く怖さ

 ピアノフォルテ上大岡の夏の恒例行事、エキスパートレッスン受講生による発表会とリサイタルを終えました.今日もまだ疲れを引きずっていて、滞っているメールのお返事も書けていないのですが、とりあえず昨日までの準備期間と昨日と今日で考えたことを綴っておこうと思います.
 

 まず、僕個人の問題ですが、人前で弾く怖さがこの歳になってもなくならないというか、むしろ増してきていることを実感しています.主な理由としては、先ず若い頃に比べて落ち着いてさらえる時間が激減したことが挙げられます.まぁそれは大人になれば皆同じなのでどうにかやりくりをしなければならないところではありますが、僕の場合、普段からそれまで取り上げてこなかったジャンルやレパートリーを開拓し、さらに新しい奏法を取り入れながら理想とする演奏のハードルを自ら上げているところがあるので、演奏会の間際まで、下手をするとコンサート当日に弾きながらあちこち折り合いをつけるのに四苦八苦していることが時どきあります.もちろん好きでそうしているというよりは、そうすることが今の自分に必要だと思っているからなのですが‥
 

 ちなみに、僕はいわゆる緊張しないタイプに見られることがあるのですが、それはとんでもないことです.まぁ緊張にも良い緊張とか悪い緊張とかいろいろあるのですが‥いずれにせよ、自分が「ピアノ弾くの大好き!」と無邪気に言っていられたのは果たしていつ頃までの話だったか.あまりに遠い昔のことでもう忘れてしまいました、、笑
 

 話を戻すと、昨日は生徒たちと僕が同じ日に同じステージに立つという貴重な機会でもありました.もちろん発表会では生徒たちの緊張がこちらに伝わってきましたし、逆に、リサイタルでは僕の緊張が彼らに伝わったことと思います.
 
 それで昨晩、自宅で飲み直した後に、なんというか、柄にもなく自分の演奏を振り返りながらもう酷く落ち込んでしまって ─ というかまったく落ち込まないほうが逆にマズいのか? ─ こういうことがある度に 「本番当日に人前で弾く怖さや、 (何日も前から悩まされる) 不定愁訴から少しでも解放されたら、どんなに幸せか」 と想像はしてみるのですが、夜な夜な考えれば考えるほど、「やはりこの 『恐怖』 というものに真正面から向き合うことに意義がある」 そんな結論に至ります.いや、これでは適当に書いているように思われてしまいますね‥でも、やっぱり人間ってどうしてもラクなほうに流されやすいところがあると思うし、そもそも自分の中に恐怖があるということはまだそれだけ未熟であるか、心が弱い証拠でもあるわけですし.
 

 というわけで、僕もいよいよいい年齢になってきましたし(←ほぼ口癖)、いわゆる若い人たちの怖いもの知らずではなく、怖さそのものを受け止めつつ、もっと鍛練を重ねて音楽的にも人間的にも成長しようと心に誓いました.いずれ、いつになるかわかりませんが、それが何らかの形で教え子たちにも伝わったらいいなぁと思います.
 

 次は2週間後の白寿ホールでお会いしましょう!

 

 

8月、9月の公演 (2016年)

 自宅のデスクトップパソコンが壊れそうで壊れません.先週末、金曜と土曜にお盆の墓参りで帰省したのですが、こちらに戻ってきてPCを立ち上げると 「キュゥ、キュウ」 とガラスの窓を拭いている時のような奇妙な音が発生するようになり、そうこうしているうちに週明け 「キュルキュル、キュルルルル~」 と異音と化し、さらに昨日は 「ゴッ、ゴゴッ!」 ‥これにはさすがの僕もあ~マズいと思い深夜の帰宅後から明け方まで、ほぼ夜通しで仕事の書類や写真データをバックアップしました.
 
 ちなみに話は横にそれてしまうのですが、普段から写真データに関してはパソコンに移す前にその大半を削除しているのですが ─ その選別作業がこれまた結構な時間の浪費になっている ─ それでもハードディスクには約10年分のデータがありまして‥数千枚、いやもっとたくさん保存されていたかもしれず、そのせいで徹夜でバックアップするハメになってしまったのです.
 
 カメラは僕の個人的な趣味の一つではありますが、スマホにしろ一眼レフにしろ、けっきょくのところワクワクしたり舞い上がっているのは撮影している時で、きちんと現像した写真を除けば、じっくり見返したりなど今はほとんどしていないんですね.当然ですがプロと違い責任もへったくれもありませんし、そもそも自分にとって本当にやるべきことは他にもたくさんあるわけで.にもかかわらず、先ほども書いたように、必要なものとそうでないものを分ける作業に目を酷使し、貴重な時間を割いているという‥だったら最初から撮るなよという話になってしまうのですが、、汗
 
 まぁ、確かに僕もいい年齢になってきたので、そろそろ手当たり次第に写真を撮るのは止めて、良き思い出はしっかり自分の目に焼き付けるようにしていかないといけないかなぁとおぼろげに感じているところではあります.
 
 そうそう、話を戻しますね.お蔭様で、異常極まりない音を発し続けながらもパソコンはどうにか持ち堪えてバックアップ作業も無事に完了しました.それで僕もなにを思ったか、デスクトップに(良く頑張ったという労いの意を込めて)グーパンチをしたところ、ひっきりなしに続いていた異常な音が一瞬途絶えたのです.それでまさかと思い、デスクトップの側面や背面をバンバンと叩いたみたら、あろうことかあれほど鳴りやまなかった音があっさり止んでしまいました.えー!?って感じですよね.
  
 機械音痴の偏見も多分にありますが、普段はいかにも扱いづらく見た目も偉そうにしているパソコンも案外ブラウン管テレビと大して変わらないものなのかしらと思うと、それはそれで親近感が湧いてきました.まぁ今は新しいものに買い替える心の余裕もないので、今後も適度な刺激を与えながらなんとか年内を遣り過ごせたら‥そんな淡い期待をしつつ様子を見ています.

 

 さて、近況というか、前置きはこの辺にして(←長すぎる!)来月までの公演のご案内をさせて頂きます.一つは10日後に迫っていますが、8月27日(土)にピアノフォルテ上大岡サロンにてエキスパートレッスンの受講生による発表会を開催させて頂きます.例年どおり、発表会の後には僕のリサイタルもあります.
 
 自分の話になってしまいすが、モダンなピアニストというよりも音楽家としてのけじめをつけるため、遅ればせながら、これまで自身の中で 「勉強」 の範疇を越えることのできなかったバロックや古典派と真正面から向き合う覚悟を決めました.それに比べれば大したことではないのですが、やりなさい!と言っておきながら口ばかりで自ら実践しないのも生徒たちに示しがつかない‥そんな教える側の事情も少し含んでいます.いずれにせよ今回はJ. S. バッハ、ハイドン、モーツァルトを演奏する予定です.
 
 ちなみに、余談かもしれませんが、僕はモーツァルト K. 330 の最終楽章をバロックダンスと解釈しています.J. S. バッハの組曲(舞曲)に始まり、ハイドンの変奏曲を経てモーツァルトのフィナーレへと、今の自分の実力でどのように帰結させることができるのか、プレッシャーもありますが興味もあります.なにより受講生の方たちと同じステージに立てることが滅多にない機会なので楽しみにしているところです.お時間がおありの方、お近くの方は是非いらしてくださいね.※
 
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※発表会の曲目につきましてはオフィシャルウェブサイトをご覧ください.また、チケットのお申し込みはウェブサイトでも受け付けております.

 

 二つ目は9月10日(土)、白寿ホールにて松波恵子・川村文雄デュオを開催させて頂きます.松波先生は日本のチェロ界の草分け的な存在で、ご縁があって昨年初めて共演をさせて頂きましたが、コンサートでご一緒させて頂くのは今回で4度目になります.言うまでもなく今回の公演は僕にとって今年のメインイベントです.ベートーヴェンもラフマニノフも、チェロとのアンサンブルは初めてですが、良い演奏ができたらと思います.

 
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ちなみに下記が当日の演奏予定曲です.※
 
J.S. バッハ / パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
ベートーヴェン / チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 op. 5-2
ラフマニノフ / 前奏曲 嬰ハ短調 op. 3-2 『鐘』
ラフマニノフ / 前奏曲 嬰ト短調 op. 32-12
ラフマニノフ / 前奏曲 ト長調 op. 32-5
ラフマニノフ / 前奏曲 変ロ長調 op. 23-2
ラフマニノフ / チェロ・ソナタ ト短調 op. 19
 
※チェロ・ソナタ以外はピアノソロ曲
 

 昨年の6月に開催させて頂いた同公演はお蔭様で満席となり、当日券をお出しできなかったため、いらして頂ける方は少しお早目にお申込み頂ければ幸いです.尚、こちらもウェブサイトのお問い合わせでも受け付けております.※
 
※チケット郵送を希望の方はチラシ裏面のお申込用紙(ファクシミリ)をご利用ください.

 

 そろそろお盆も終わるころでしょうか.不安定なお天気が続きますが、皆さまどうぞ体調にお気をつけてお過ごしください.またコンサートでお会いできることを楽しみにしています.

 
 

音楽家の義務

 夏真っ盛りです.連日の暑さで体調を崩す方も多いようですが皆さまはお変わりありませんか.
 
 我が家ではこの猛暑の中、どういうわけだか昨年のクリスマスにやってきたシクラメンが咲き始めて思わず目を疑っています.思えば今年は忙しさにかまけて梅や桜、牡丹をちょろちょろっと見たきり‥その後はまったく酷いもんで、ツツジも花椿も紫陽花も、みな知らないうちに見頃が過ぎていました ─ ちなみに今はサルスベリがあちこちに咲いているので日傘下からキョロキョロ覗きながら歩いています ─ そんな日々でしたから、季節外れとはいえ、またシクラメンの花を愉しめるようになったことは僕にとっては小さな幸せです.もっとも不意討ちに強いられることとなった世話を除けば‥ですけどね.
 

 さて、お蔭様で大学の前期授業が無事終講し、7月下旬以降はカワイ横浜店のジョイフルステップアップステージ、桐朋学園大学の夏期講習会、同大学附属子供のための音楽教室のピアノ夏期講習 in 調布、音の夢ピアノコンクール東京予選などに、それぞれアドヴァイザー、講師、審査員として参加させて頂きました.またその合間を縫って、6月末から取りかかっていた日本ピアノ教育連盟の誌上レッスンの原稿を書かせて頂きました.こちらは同連盟が発刊している Klavier Post vol. 126 ( 2016 Summer ) に掲載されていますので宜しければご覧ください.
 
 しかし 「音楽」 と一口に言っても、まぁ色々な仕事があるもんだなぁとあらためて感慨深く思います ─ 僕自身はピアニストとして本格的な音楽人生のスタートを切った人間ですが、今はより多角的な視点から自身のあり方を見つめたり、残りの人生を如何に生きるかを模索しているため、或いは余計にそう感じてしまうのかもしれません.もっともそのようなことを考えるようになったのはここ数年の話ですが、最近は、これは単なるミドルエイジの問題で済まされるものではなく、音楽家が背負ってゆくべき宿命なのかもしれない‥そうも感じられるようになってきました.
 

 奇しくもそんな中、4,5日前のことですが、例によって読書をしている時にふと小澤征爾氏と大江健三郎氏の対談の中の一節が目に留まりました. 「音楽をやる以上、みんなある義務を担わなきゃならないんだけど、その義務をどのように担うか」 、 「音楽をやる者は、絶対に夢を持っていなければならないし、義務感、責任感がなきゃいけない ─ 中略 ─ 音楽をやるにはある基準があって、それを守らなければならない本当に優れた音楽家はみんな (それを) 守っている」 (同じ年にうまれて~音楽、文学が僕らをつくった / 中央文庫) まぁここだけを切り取ってもうまくは伝わらないと思いますが、僕はこの本の中の両氏のやり取りを読んでいて、自分の中で何かがストンと腑に落ちたように感じました.
 
 とりわけ 「義務」 という言葉で音楽家の果たすべき役割を示唆している点が非常に新鮮で、僕などが言うのはおこがましいけれども、それは数百年にわたって西洋のクラシック音楽や演奏芸術が継承されてきたことを考えても納得がいきます.何より自分が生かされているこの難しい時代、21世紀に、音楽家としてのあるべき姿を説くだけでなく、身を削りながらそれを具現しているアーティストがこうして少なからず存在しているということが今の僕にとって感動的で、同時に勇気を貰いました.
 

 ピアニストを目指すことも、ピアニストとして活動していくことも、それはそれでとても意義のあることだと思います.けれども、仮に音楽家という観点から見た場合、今の僕は決してそれだけでは十分ではないように感じています.まだまだ手探りではありますが、これからも一音楽家として少しでも成長できるよう、できることは何でも挑戦していきたい‥そんなふうに思う今日この頃です.

 

摩訶不思議なシクラメン、とりあえず肥料を与えて様子を見ています.

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生きること 学ぶこと

 一ヶ月もご無沙汰してしまいした.蒸し暑い日が続きますが皆さま如何お過ごしでしょうか.
 
 さて、先月は銀座山野楽器本店にて門下生によるコンサートを開催させて頂き、お陰様で無事に終えることができました.出演した教え子たちはリハーサルから皆一様に緊張しているようでしたが、本番では彼らなりの精一杯の力を出し切れたのではないかと思います.一方で、こうして時間を経て改めて振り返ると、 「それで、彼らは何を学んだのか?」 、 「それを今の学習にどう生かしているのか?」 ‥そうした素朴な問いが僕の中に生まれてきます.自分の若い頃と比べても今の学生たちは本当に忙しそうで気の毒になってしまうのですが、できることなら時々は時間を取って、自身を省みて欲しいとつくづく感じています.
 
 ところで話は変わりますが、昨日また一つ年を取りました.先ほど、ちょうどこのブログを書き始める前に、2年前の誕生日に書いた自分のエントリーを読んでみました.正直まぁ若いというか、青いというか ─ もっとも、成長するためには色々な意味である程度は背伸びをすることも必用なのでしょうが、こうして改めて読んでみると、存外みっともないものですね、、笑
  
 ちなみに今月は目の前の仕事に追われながら、寝食削って新しい曲の譜読みと読書に勤しむ日々が続いています.そろそろ体力的にもだいぶきつくなってきましたが、8月になれば自分の勉強に割く時間が今よりうんと増える予定なので、それを楽しみにあと1週間を頑張ろうと思います.
 

 タイトルの 「生きること 学ぶこと」 (集英社文庫) は数学者である広中平祐氏の著書.4年ほど前に何となく惹かれて購入し、これまでに幾度か読み返してきました.昨年は仕事のこともあって音楽理論の専門書ばかり読んでいましたが、今年はまた思想や随筆といったジャンルの本を多く読むようになり(残念ながら小説を読むゆとりはない‥)、この本も改めて読み直しました.
 
本来、他人に本を勧めるのは差し控えるべきことかもしれませんが、とりわけ未来を担う学生たちに是非読んでもらいたかったので紹介させて頂きました.

 

森と見まごうほど荒れ放題の庭で採ったブルーベリーとミント
今年はけっきょく野菜作りを断念しました、、汗

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真っ只中

 今週は梅雨の真っ只中といった感じで、家中の除湿機がフル稼働しています.ちなみに今の住まいには除湿機が全部で5台あるのですが、それぞれのタンクに溜まった水を捨てて戻ってくるだけでもけっこうな運動で ─ 特にこの時期はボサっとしているとすぐに満水で機械が自動停止してしまうので、こまめに水を捨てる必要があるのです ─ そのせいかはわかりませんが、今月に入って2キロほど痩せてしまいました.
 

 さて、先週末の 「モーツァルトを楽しむ会 レクチャーコンサート vol. 14 川村文雄 ショパンの世界」 にいらしてくださった皆さま、どうも有り難うございました.これで今年に入ってしばらく続いていた公演が一段落しました.今はコンサートが無事に終えられた安堵感と共に、一抹の寂しさのようなものを感じています.ヘンですよね‥束の間とはいえ、ようやくプレッシャーから解放されたというのに.よくわかりませんが、ありていに書くと失恋したかのような?? まぁそれだけ作品と深く真剣に向き合っていたということで.実際、こうして終わってみると、精神的にはもちろん、無意識の身体感覚として、自身の日々の生活の一部のようになっていたんだなとつくづく実感します.この終わってみると‥という件がなんともそれっぽくて切ないのですが、、笑
 
 けれども、よくよく考えるとこれから新たに取り組む作品がたくさんあるので、今は譜読みの真っ只中でもあるんですね.早く気持ちを切り換えてそちらに慣れていかなければと思います.ちなみに次回のコンサートは8月27日(土)@ピアノフォルテ上大岡です.詳細は改めてウェブサイトで告知させて頂きます.
 

 最後に教え子たちの出演するコンサートのご案内をさせて頂きます.現役の桐朋学園大学ピアノ科の学生(高校生から研究生まで計7名)によるジョイントコンサートで、銀座山野楽器本店7Fのイベントスペース Jam Spot にて開催させて頂きます.開演は18時00分で入場料は500円、お越しいただける場合はできるだけ事前予約をお願い致します.尚、お問い合わせは僕のウェブサイトからも受け付けます.

 

<銀座山野楽器本店 セレクションコンサート Vol.6>
桐朋学園大学ピアノ科在学生によるジョイントコンサート
川村文雄 門下生によるピアノコンサート
ピアノとピアニズム〜古典から近代へ、その変貌の軌跡
 
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日時: 2016/06/24(金) 18:00~19:50予定 (開場17:30)
会場: 銀座山野楽器 本店 7F イベントスペース JamSpot
演奏: 川谷早紀(高校2年)、向田朱里(大学1年)、五十嵐美和(大学2年)
諸橋優生子(大学2年)、永井眞子(大学3年)、西河由季(大学4年)、邵旻霄(研究科2年)
入場料: ¥500(税込)
曲目:
J.S.バッハ:平均律 第2巻 第20番 イ短調 BWV.889
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 Op.53「ワルトシュタイン」第1楽章
ショパン:スケルツォ 第4番 ホ長調 Op.54
リスト:巡礼の年 第1年「スイス」より「オーベルマンの谷」
ブラームス:創作主題による変奏曲 ニ長調 Op.21-1
スクリャービン:練習曲 嬰ハ短調 Op. 42-5
ラフマニノフ:楽興の時 Op.16 より 第4番 ホ短調
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第3番 イ短調 Op.28「古い手帳から」  他

お問い合わせ: 銀座本店 6F ピアノフロア

 

 

6月になりました

 今日から6月になりました.ということは、あとひと月で今年の半分が終わるということです.本当に信じられません.いや、もっと以前から 「月日が経つのがはやい」 という実感はありました.けれどもその頃はまだ自分の時間もそれなりにあったせいか、それに対してあまり気に留めていませんでした.
 
 けれども今は状況が変わり、若い頃とはまったく異なる焦りを覚えることもしばしば.というのも、あと30年、長くて40年生きられたとして、その間に、僕が有意義に音楽を学べる時間、或いは家族や友人と会えるチャンスがどれくらい残っているのかと考えると、正直不安を感じずにはいられないからです.幸か不幸か僕は計算があまり得意ではないので、まぁあくまでも想像の範疇で済んでいますが.
 
 いずれにせよ、職業音楽家という道を選択した以上は、自分の人生に残された 「真に自由な時間」 は、もうあまり多くはないということをどこかで覚悟しておかねばと思っています不平不満を言ったり、後悔したり、ましてや他人を非難したり恨んだり‥そのようなことに時間を費やしている暇があったら、与えられた目の前のことに最善を尽くせるよう努めたい.そんなふうに考える今日この頃です.
 

 さて、お陰様で先月は東京工業大学管弦楽団 第154回定期演奏会、そしてショパンフェスティバル in 表参道のピアノリサイタルを終えることができました.たくさんのご来場、誠に有り難うございました.
 
 自身の演奏についてはいろいろ思うところはありますが、東工大オケと共演させて頂いたベートーヴェンの 「皇帝」 では学生の皆さんの集中力もあって、心からアンサンブルを愉しむことができたように思います.余談ですが、この作品は僕が初めてオーケストラと一緒に演奏した最初のピアノ協奏曲です.もう20年以上も前になりますが、当時僕は高校1年生で、その頃はとにかくソロパートを弾くことで精一杯‥その後も何度かこの作品を弾かせて頂く機会に恵まれ、その都度いろいろな課題と対峙してきましたが、今回は初めて、これまでになかった手ごたえを感じることができました.
 

 また、云年ぶりとなる東京でのオールショパンプログラムは、ショパンやショパンの作品に対する想いが深まると同時に、それらを他者に伝えることの難しさや責任の重さ(教育的なことも含めて)を改めて実感しました素の自分が感じていることを聴き手も同じように理解し、共感してくれたらどんなに幸せかと思いますが、残念ながら現実はいつもそうとは限りません.とは言え、20代の頃に比べればそのギャップはだいぶ埋まってきているようにも感じます.やはり演奏を通して作品だけでなく聴衆とも根気よく向き合うこと、そしてそれを継続するということが大切なのでしょうか‥
 

 さて、最後に今月のコンサートの告知をさせて頂きます.夏以降は別のプログラムに集中するので、ショパンは今年はこれで弾き納めになると思います.また、当日はお話を交えながらアットホームな雰囲気でお楽しみ頂けたらと考えています.ショパンフェスティバルに来られなかった方、もう一度ショパンを聴きたい方、この機会に如何でしょうか?

 

<モーツァルトを楽しむ会 レクチャーコンサート vol. 14 川村文雄 ショパンの世界>
日時: 2016年6月11日(土)
会場: 高津市民会館 大会議室 (神奈川県川崎市)
曲目: オールショパンプログラム
幻想即興曲 op. 66
ノクターン 第8番 変二長調 op. 27-2
練習曲 変イ長調 op. 25-1 『エオリアンハープ』
練習曲 ホ長調 op. 10-3 『別れの曲』
練習曲 イ短調 op. 25-11 『木枯らし』
幻想曲 ヘ短調 op. 49
その他

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※チケットはオフィシャルウェブサイトのお問い合わせからも受け付けております.

 

それでは、当日会場で皆さまにお会いできることを楽しみにしています!

 

近々のコンサートの告知

 今日は久しぶりに家でなだらかな一日を過ごすことができました.これで首・肩の強張りがラクになれば言うことなしなんですけどね.どうでもいいことですが、さっき昆布茶を飲んでいて、そろそろ昆布茶も厳しい季節になってきたなと明確に感じました.今の袋を飲み切ったら、また涼しくなるまで待とうと思います.
 
 さて、来週からコンサートが続くので宣伝をさせて頂きます.チケットのご予約はウェブサイトからのお問い合わせやメールでも対応させて頂きますが、いずれの公演もお席に限りがありますのでお早めにご連絡頂ければ幸いです.

 

<東京工業大学管弦楽団 第154回定期演奏会>
日時: 2016年5月21日(土)18時00分開演
会場: めぐろパーシモンホール 大ホール (東京都目黒区)
入場料: 1,000円
曲目:
ウェーバー / 『魔弾の射手』より 序曲
ベートーヴェン / ピアノ協奏曲 第5番 『皇帝』
ドヴォルザーク / 交響曲 第9番 新世界より
指揮: 末永隆一 オーケストラ:東京工業大学管弦楽団

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<ショパン・フェスティバル in 表参道>
日時: 2016年5月24日(火)19時開演
会場: カワイ表参道 コンサートサロン 『パウゼ』 (東京都渋谷区)
入場料: 3,000円
曲目:
~響き合うエチュード~ オールショパン・プログラム
2つのノクターン op.27
練習曲 変イ長調 op. 25-1 『エオリアンハープ』
練習曲 ハ長調 op. 10-7
練習曲 ホ長調 op. 10-3 『別れの曲』
練習曲 ホ短調 op. 25-5
練習曲 イ短調 op. 25-11 『木枯らし』
練習曲 変ホ短調 op. 10-6
練習曲 ロ短調 op. 25-10
幻想曲 ヘ短調 op.49
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58

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それでは当日、皆さまにお会いできることを楽しみにしています.

 

(追記)
5月9日より募集をしているピアノフォルテ上大岡のエキスパートレッスンですが、9月18日(日)に若干の空きがあるようです.これから受講をご希望の方はお早めにお申し込み頂ければ幸いです.
 

(追記2)
9月までのエキスパートレッスン枠は、お陰様で5月16日をもって全て埋まりました.今後はキャンセル待ちのみ受け付けます.
 
また、ショパンフェスティバルにお越し頂ける方でチケットを予約されていない方はお早めにご連絡頂ければ幸いです.

 
 

学ぶ意欲と刺激し合える喜び

 ゴールデンウィーク、皆さま如何お過ごしでしょうか.
 
 僕は昨夜遅くに志賀高原の合宿から一足先に帰京しました.こちらで行われている東京工業大学の合宿に参加せて頂くのはこれで3度目になりますが、今回はお天気にも恵まれてとても幸運でした.

 

写真だとわかりづらいのですが、1枚目はダケカンバで2枚は白樺

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 さて、音楽を続けていく中で、学ぶ意欲が自身の成長にとって不可欠であることは言うまでもありません.言うまでもない、つまり当たり前のことなのですが、その当たり前が実際なまなかではないこともあって、後進のためにも僕の思うところを書いてみようと思います.
 
 僕は現在、10代の後半から20代前半の学生たちを主に指導しています.その大半は将来的に何らかの形で音楽と関わっていくことを希望しています.そこで僕が度々感じることは、ピアノや音楽の道を志すこの世代の学生たちは、自分の教え子に限らず、今一度これまでの学習のあり方を根本から見直すべきではないかということです.
 
一般的に、小・中学生あたりまでは自分の親や先生に褒めてもらったり、コンクールなどで他人から認めてもらうことが勉強のモチベーションに繋がることが多いと思います.また、なんとなく周りの友達がやっているから‥というのも音楽を学ぶきっかけや理由になり得ます.それはある意味とても自然なことだし、結果的に学習が捗ったりピアノを弾くことが楽しくなるのであれば、大いに結構なことだと思っています.僕自身もそうでしたが、小さいころはなんだかんだで身近な人たちとの関わり合いが人生の大半を占めていますし、そもそもそのような年頃には自身を取り巻く社会のことなど普通は気にも留めませんから.
 
 けれども今は時代が変わって、まだ自分でものを考える力が発達していないころからやれ受験だとかその先の就職だと躍起になっている子たちも少なからずいるようです.本題ではないのでここでは深く掘り下げることはしませんが、敢えて僕が言っておきたいのは、自分が社会の一員として何をなすべきか、そのうえで将来的にどんな人間になりたいのか、そうしたことをきちんと考えられない年齢の子どもたちに対して、例えば 「音楽とはなんぞや」、 「人生とはなんぞや」 と考えろと言っても土台無理な話だということです.もっとも、だからといって即物的な成果主義に走って欲しくはないのですが‥
 
 で、話を戻すと、僕が主に指導をしている学生たちは、今まさにそうしたことを自らに問いかけていかなければならないところに来ています.少なくとも年齢的には、自分の人生に責任を持ち、音楽を学ぶということがどういうことかを自覚を持って考えられなければいけない
そこで、余計なお世話かもしれませんが、僕がちょっと心配しているのは、自らの意思で音楽と向き合いながら自我を確立していくこの大切な時期に、音楽をする意義を見つけることができずに宙ぶらりんになってしまったり、本当の気持ちを偽ってフェードアウトしていく人が存外多いということです.
 

 もっとも、先々の仕事や収入、社会的ポジションを考えると夜も眠れない‥そのような不安に駆られることは僕も重々承知しています.でも、だからといって手堅い道を選択することでその人が幸せになれるという保証はどこにもありません.さらに付け加えるなら、職業音楽家としての地位を得てお金を稼いでいる人たちの中には、音楽そのものを心から愛していない人たちもいます.奇妙に感じられるかもしれませんが、社会とはそういうものです.
 
 
 誤解をしてほしくないのは、僕はそういう方々を責めるつもりでこれを書いているのではありません.そうではなくて、将来のある学生たちには、これから自分で自分の人生の舵を取っていくにあたって、音楽と共にどのように歩んでいきたいのかをできるだけ具体的に、真剣に考えて欲しいのです.そのためにも広く世の中を見渡し、好き嫌いや損得勘定を抜きに、できる限り多くの人たちと交流を深めて欲しい.もしかしたらその分のわずらわしさや気苦労はあるかもしれませんが、きっと、自分がどんなふうに生きていきたいのかがそこから見えてくると思います.
 

 今の僕が恵まれていると感じるのは、自分の周りにプロ・アマ問わず 「学ぶ意欲」 に溢れた音楽家がとても多いことです.もちろん、ご縁もありますが、それだけではありません.お互いに刺激し合えることに純粋に喜びを感じて、それがまた音楽をするモチベーションになることを知っているからこそ同じような人間が集まっているのだと思います.
 
 個人的な話になりますが、東工大オケをはじめとするアマチュアの学生オーケストラ、市民オーケストラはその良い例です.こう言っては失礼かもしれませんが、彼らは 「本業」 ではないにもかかわらず、音楽を学ぶことに対して驚くほど貪欲で、前向きで、とても謙虚です.当然ながら僕もそこから多くの刺激を受けていますし、今でも学ぶことが尽きません.大袈裟でもなんでもなく、これは僕にとっては立派な財産の一つだと思っています.
 

 これから音楽を志す人たち、とりわけ思春期を過ぎて専門的な勉強をしている学生たちには、普段から自発的で積極的なモチベーションを維持するために自身が何をすべきかを改めて考えてもらいたいと思います.そのためにも、世代や立場を越えた幅広い交流の場を持つことは欠かせません.個人にできることは所詮は限られていますが、互いに刺激し合える仲間が集まれば結構おもしろいことができますからね.いずれにせよ学ぶ意欲を持ち続けることができれば音楽は続けるほどに愉しくなります.これは身をもって経験していることなので間違いありません、、笑

 

さて、明日からまた学校が始まります.気を引き締めて頑張ります.

 

4月は怒涛の如く

 熊本県・大分県地方の地震が収まりません.ニュースを見ながら被災された方やそのご家族の方々のお気持ちを考えるとやはり複雑な気持ちになってしまいます.けれども同時に、なにか自分にできることはないかという気持ちが独り歩きして自らの行動が空回ることのないよう、今は自身に課せられた仕事に集中することを心がけています.これは5年前の東日本大震災から得た教訓です.被災地の方々に一日も早く平穏な暮らしが戻ることを祈りながら、必要以上に心乱さぬ生活を心がけ、目の前のやるべきことに集中する.支援はしかるべき時に‥今はそんなふうに考えています.

 

 さて、大学が新年度を迎えて3週間が経過しました.明日から5月になりますが、心なしか今年の4月はいつにも増して慣れない仕事に追われた日々が続きました.そんな中、先週はザ・パシフィックハーバー(徳島)にて開催されたマンスリーディナー倶楽部のイベントに出演させて頂きました.今回も昨年と同様、コンサート後には古典のフレンチと各お料理に合わせた王室御用達のワインが振る舞われ、いらしたお客さまと共に良いひと時を過ごすことができました.その翌日は10年以上も前から度々演奏させて頂いているケアハウス田園の田園ホールで、急遽プライヴェートコンサートをさせて頂きました.心ある恩人たちを前に、あたたかいような、せつないような、そんな不思議な気持ちを抱きました.

 

ザ・パシフィックハーバーと田園ホールのグランドピアノ
 
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 せつないと言えば、徳島の後は福井の実家で週末を過ごしたのですが、最近、妙に親のことが気になるようになってきてしまいました.いつか両親と別れる日が来るということが、単なる頭の中の理解ではなく、ひしひしと実感するようになったというか.別にそのことが哀しくて仕方がないというのではありません.ただ、僕のピアノのために休みなしでずっと働き続けてきてくれた両親ですから、二人の元気なうちに一緒に出かけたりゆっくり食事をする機会をできる限り持ちたい‥でも、あとどれくらいしてあげられるのか‥そんなことを考えているとなんともせつなくなってしまうのです.まぁそうは言っても、僕は自分の家庭を持っていませんから、仕事のやりくりさえすればまだまだ親にしてあげられることはあります.そんなふうにポジティブに考えていこうと思います、、笑
散歩中に見つけたシャガと荒れ放題の川村家のフジ

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 そして今週はチェリストの松波恵子先生との初合わせ、さらに東京工業大学管弦楽団との初合わせがありました.アンサンブルをしていると、「音楽って本当にコミュニケーションなんだなぁ」 と、つくづく感じます.それこそ20代前半の頃は、音楽にはコミュニケーションが不可欠であることを頭で理解しながらも、演奏を通して作品を他者に伝えるということがどういうことかを深く考えたり、他人の気持ちを汲みとりながら研鑽を積んでいたとは到底言えない‥もう恥ずかしいくらいに自分のことしか考えていなかったので.ちなみに、今はソロのピアノ曲を演奏する際でも、一人でアンサンブルをしているような感覚が自然と起こるようになりましたが、それでもなお、室内楽やコンチェルトにはソロにはないスリルや奥深さが多くあるように感じています.

 

 最後になりますが、今月は10年来の師でもあるディーナ・ヨッフェ先生が来日され、5年ぶりに日本でリサイタルを開催されました.恩師であられるヴェラ・ゴルノスタエヴァ女史の追悼コンサートということでしたが、ヨッフェ先生のお人柄がうかがえる内容で、怒涛の如く過ぎ去る4月の終わりにとても幸せな気分に浸ることができました.ファツィオリも大変気に入られたようで、今後また拝聴できる機会が増えたら嬉しいです.

 

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それでは皆さまどうぞ良い連休をお過ごしください.