不確かな人生とささやかな幸せ

　自らの生き方にパースペクティブ（多角的視点）を持つこと、そしてアイデンティティの不一致に寛容でありたいと思う今日この頃です。

　今は「新しい生活様式」が強調されていますが、個人的には外形的な在り方だけでなく自らの在り方そのもの ― セルフイメージや偏見にとらわれることなく毎瞬毎に生成される ≪自分≫ に気づき、如何にそれと向き合うかという根本 ― 本来の自己（「ほんとうの自分」という表現は誤解を招くので使用を避けました）に立ち返り、自身との付き合い方を見直すことによってこの不確かな人生の中にささやかな幸せを見つける良い機会になるのではと思っています。

　別にむずかしいことを語っているつもりはありません。不確かな人生とオーバーに書いてみましたが、そもそも人生とは人の生み出した「観念」であり、実体がない。以前も書いたかもしれませんが想像の産物とありのままの現象を同一視してコントロールできるはずだと思い込んでしまうように社会が成り立っている。ただそれだけのことなのです。
　
　ある意味この考え方を突き詰めていくとニヒリズムに繋がるのかもしれません。けれども語弊を恐れずに言えば、ニヒリズム自体が悪いとは僕は思いません。それよりもニヒリズムを乗り越える覚悟を持たずにそれを誤魔化したり隠ぺいする風潮に流されることのほうが問題と考えています。それは誰もが避けられない「死」という事実をいたずらに遠ざけて「生」をおぼつかせるのと同じで、ちゃんと自分を生きていないように感じるからです。
　

　東京は今週から本格的に人が動き始めているようです。僕も実に4ヶ月ぶりに対面での実技レッスンをそろりと再開しました。これからますますいそがしくなりそうですが、3密に気をつけて手洗いと必要時のフィジカルディスタンスを保ちつつ、ささやかな幸せを味わう時間を大切にしたいと思います。

　
　皆さまもどうか引き続きご自愛ください。

　
　追記
　写真は今日の朝食です。父が釣った真烏賊（マイカ）と実家の畑の野菜。採れたての夏野菜は思いっきり福井の匂いがしました。