20220104

無為自然

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 先週末は仕事で少々負荷をかけすぎたこともあって、福井で少しばかり寄り道をしてから東京に戻りました。

 それにしてもいつ以来かも思い出せないほどご無沙汰しているというのに、みな揃いもそろって病気やお薬・介護の話ばかりで思わず苦笑い。けれども、生きるってそういうことだと思っている僕にはむしろそれが心地よかったりもして、来てよかったなとしみじみ感じました。
 

 実は少し前からまた酷い耳鳴りとパニック発作に些か手を焼いています。手を焼くというのは、処置のしようがないという意味です。できることがあるとすれば、むやみにそれを消そうとしないこと※ ― なにしろQOLが下がりまくるので「受容」という言葉はここでは使わずにおきます ― それが一番の特効薬だと思っています。なぜなら、どちらも身体の中で起こっていることだからです。

 万物の霊長などとうそぶいても、そもそもヒトの身体は自分の思いどおりにはならない。ほら、僕やあなたが認識している《自分》、そのはたらきを生成しているのは、他でもないこの(その)身体ではありませんか。それをエゴとしての自分がコントロールしようとすれば、ますます身体は言うことを聞かなくなる。至極もっともなことだと思うのです。
 

 都市部の暮らしに慣れすぎて忘れてしまうことも多いのですが、静かに観察してみると、身体はそれ自体が一つの自然現象のようで、どこか人智を超えた領域の存在を感じさせられることがあります。

 大自然と同じように、前ぶれもなく雨が降ったり風が吹いたりガタガタ震えてみたり― ほとんどカオスとも言えますが、そうした混沌を繰り返しながら調和を保つ身体から自然に根ざした生き方を教わっているような気がしないでもない今日この頃です。
 

※耳鳴りやパニック症における薬物療法(漢方薬含む)がエビデンスに貧しいこともあり、近年は重症度の高さ等により認知行動療法(精神療法)が治療の主流となりつつあります。耳鳴りの治療においても推奨される教育的カウンセリングの治療目標には、「耳鳴りの消失を目標としない」という文言が明記され、必須項目となっています。

参考文献:
・耳鳴り診療ガイドライン2019年版
・ENTONI No. 258 2021年5月号 / 全日本病院出版会

 

写真の説明
年明けから厳しい寒さが続き、近所の池に氷が張ることが増えました。
変哲のない落葉もいつになく神秘的な雰囲気を醸しているようです。
 

4件のコメント

  1. おはようございます。

    先生も(今は)大変ね…、
    でも「命にかかわるほどの危険はなさそう」だから良かったですね(^_^)!

    薬物療法がいまいち?の場合のケアとしては(それなりに口の堅い人や利害関係のない人、信頼できる人など)相手を選んで、
    自分自身の物語を話す時間をもつと少しでも心がラクになるのではないか?と思います(耳鳴りはちょっと違うかもだけど)。
    専門の人にカウンセリングしてもらうとか…

    私自身はそういった場合は、
    少しでも寄り添える人間になりたいな~と思います。

    あ、
    写真は貝殻かと思いました!
    きれいな落葉ですね~(´・∀・`)。。

  2. コメント失礼いたします。
    スケジュールをいつもより詰め込んでしまいますと私の場合は疲労が蓄積してパニック発作が突然起きます。発作は何回起きても慣れることはなく大変辛いですね…。私は発作が起きるとすぐ自転車に乗って、公園に行き、ベンチに座って目を閉じて呼吸法をとにかく繰り返します。反対に余計に苦しくなるときは遊んでいる小学生とひたすら話をしてなんとかおさまるのを待つか…です。
    しんどい、辛い病気ですよね。。。
    ゆっくりお休みください。

  3. 川村さん
    こんばんは
    初めて、こちらでコメントさせていただきます。

    耳鳴りとパニック症、お辛いこととお察しします。
    実は私も耳鳴りだけでなく、昔からパニック症があり今も波があります。
    呼吸を整える…わかってはいてもなかなか私も難しいのです。
    目を瞑ったり、外に出たり、運動したり…
    同じ病気を持ってた友人がプールウォーキングに効果があったと聞いて、私も前にジムに通ってました。
    (その後、転勤で辞めてしまいましたが、1年間の東京生活が楽しかったので発作は全く出なかったのです)
    私も友人も、大きな悩み事 不安な事を抱えていたのが原因です。
    不安な種が少し解消された時にパニック症も落ち着いてきました。
    川村さんと原因は違うかも知れませんがあの嫌な発作はなった人しかわからないですよね。

    酷い耳鳴りも私と同じですね。
    補聴器をつけていないと気が狂いそうになりそうな時があります。
    耳鳴りは脳の興奮だとか…TVで観たことがありますが…ほんとに、一時期だけでもいいから緩和する特効薬がほしい、と切に思います。
    夜寝る時はかなり辛い時があり、そんな時は迷わず病院でいただいた薬で眠るようにしています。

  4. ちゃまさん
    文章にすると重く感じられるかもしれませんが、ままならなさにはある意味で慣れていますので。深く考えることはありますが、思い詰めるようなことは滅多にありません。化粧をした落ち葉、きれいですよね。

    まめさん
    移動中に(僕は移動中にしか起こりませんが)パニックが起きると毎回このまま死ぬかもしれないと本気で思います。だから、パニックが治まると人生の終わりに悔いのないように生きようと思います。

    ニコままさん
    コメントをありがとうございます。
    >大きな悩み事 不安な事を抱えていたのが原因です。
    人によるのかもしれませんが、悩みや不安って実体がないからいたたまれなくてつい無理やり楽しいことを考えようとしたり、発作が起きそうな場所を意識的に避けたりしてしまう‥でもそれはパニック発作への対処としては完全に逆効果なんですよね。

    耳鳴りもそうだけど、最近はいったん始まったり気になりだしたらもう心をまるごと明け渡してぜんぶ身体に委ねてしまうようにしています。苦しいことも楽しいことも必ず終わる、一時的なものだと観ている自分がいます。

    ちなみに入眠困難な時にお薬にお世話になるのは僕も同じです。なにしろ「我慢」することがいちばんよくありません。お互いに少しでも穏やかに、健やかに居られる時間が持てるといいですね。

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